6.高いピークパワーを使う
非線形光学効果はピーク光強度のべき乗に比例するので、ピークパワーの非常に高いフェムト秒パルス光ではこれらを効率よく利用できます。また、非線形光学効果は光計測にとって魅力的な機能(超高速時間ゲート・波長変換・位相共役・光増幅・光スイッチ等)を実現します。
このような非線形光学効果は、我々の生体組織でも発生します。例えば、近赤外(波長800nm)のフェムト秒パルス光を皮膚真皮や歯牙象牙質に照射すると、光とコラーゲンの非線形相互作用により、その一部が青色光(波長400nm)に波長変換されます。このように波長が半分(周波数が2倍)に変換された光を第2高調波発生光(SHG光)といいます。コラーゲンから発生するSHG光(通称 生体SHG光)は、通常の反射散乱光とは発生メカニズム的に異なり、分子オーダーの配向・構造に敏感という特徴を有しています。我々はこのような特徴に注目し、生体SHG光を用いたコラーゲン線維の配向測定に関する研究を行っています。