機械学会バイオエンジニアリング部門JSME-BED、韓国KSB、台湾TSB、アジア太平洋バイオメカニクス学会APABの公式ジャーナルであるJBSEより、下記論文を2016年のJBSE Papers of the Yearの一つに選んでいただきました(http://jbse.org)。
Deguchi, S., A possible common physical principle that underlies animal vocalization: theoretical considerations with an unsteady airflow-structure interaction model. Journal of Biomechanical Science and Engineering, 11(4), 16-00414, 2016.
昔、機械学会の論文賞(Deguchi et al., JSME Int. J. Ser. C 48(4), 396-402, 2005)をいただいたときは、自ら応募した末に選んでいただいたものでした。従って、今回いただくことになったJBSEのAwardも同じく手を挙げない限りチャンスはないものと思っていました。ところが今回は応募していなかったにも関わらず受賞リストに名前があり驚きました。後ほど選賞に関わった方?(と推測しましたが、実際は不明)から、JBSEのAwardは公募の手続きを経ずに選ぶものであることをお聞きし、そのような状況で選んでいただいたことを特に嬉しく思いました。
勿論嬉しい限りですが、実は先日出した別のJBSE論文(Deguchi et al., The opposite mechano-response …, in press)がAwardに選ばれたらいいなと以前からひそかに希望して、募集があれば手を挙げようと機会を待っていました。なぜならこちらのin press(2017年発刊予定)の論文は若手の共著者が多く、受賞の暁には彼らのプロモーションに少し貢献できる可能性があったためです(一方、今回受賞の論文は単著であるために、周囲からありがたられない。。)。また内容的にも、in pressの論文は免疫染色とウエスタンブロッティングの結果が逆転する現象を物理的視点から説明しており、(バイオエンジニアリング・バイオメカニクス分野以外の)分子細胞生物学分野などにも周知する価値のある成果であると自己評価していたためです。
一方、今回受賞の2016年の論文も、ヒトに限らず広く高い周波数での動物発声について力学的観点から議論したものであり、ユニークな着眼点を含む内容だと思っています。また、マウスの超音波発声と分子脳科学とのつながりが昨今報告されています。そのような状況を鑑みて、当論文内でシンプルな神経制御に基づく声の高さ調節について言及していることから、分子生命系の研究者の目にも留まることを期待しており、今回の受賞がその機会を拡げることにつながればいいなと考えています。(また、in pressの論文も、選賞に公募を経ないということは、来年の同時期に吉報が来ないかと頭の片隅に置きながら適度に楽しみにして待ちたいと思います。)