学生諸君へ

もの作りの楽しさと大切さ

 私たちの研究室の教育方針を述べま す。工学の基本は"モノ作り"にあると考えています。最近の技術の急激な 進歩は研究分野を細分化させ、特定の専門分野だけを勉強すればそれで事足りてしま う風潮があるように思われます。しかし本当に創造的な、また現実に即したアイディ アを生みだすためには、学生時代に各自の専門を意識しつつ学問全体を広い視野で概 観できる力を持つことが必要だと思います。その意味で"モノ作り"には、 目的とする機能を実現するための基礎的学習が不可欠であり、たとえどのようにささ いな装置、機器、プログラムであっても、実際に手足を動かしてその製作を体験すれ ば、その背後にある物事の本質的な部分を吸収できるうえ、さらにその何倍かの事項 を自然に理解できるようになります。また"モノ作り"は、それ自体が面 白く、完成したときの満足感も大きいので、学生時代にそのような経験を持つこ とは貴重な財産になると思います。実験を伴う研究を進めようとすると、自身で装置 に改良を加えたり、新しい装置を製作したりする必要が生じます。その意味でも "もの作り"は研究に不可欠なのです。

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